木のストローをご存知でしょうか?
実際に使えるのか、値段はいくらなのか気になりますよね。また、木のストローの開発実話は本になり話題を集めています。
この記事では、木のストローの本を読んで感動し、実際に木のストローを作って使ってみた2児の母が、木のストローの魅力をご紹介します。
たかがストロー、されどストロー。木のストローの背景を知ることは、私の世界を少し広げてくれました。
このストローを通じて、何か新たな発見があれば幸いです。
木のストローとは?
木のストローとはその名の通り、木で出来たストローです。平成30年、豪雨被害をきっかけに開発され、間伐材を巻いて接着して作られています。
太さは口径約4mmと一般的な6mmのストローに比べ少し細いタイプのストローです。長さは、20cm、13.5cm、16cmの3タイプがあり、標準的な21cmのストローに比べると少し短めになります。
紙ストローよりも長持ち
ストローと言えば、プラスチック製のものが最も一般的ですが、海洋汚染問題が話題になって以来、多くの企業でプラスチック製のストローは廃止されています。
スタバのストローが紙ストローになったのは、皆さんもご存知ではないでしょうか。
紙ストローを使ったことがある方なら経験があると思いますが、長時間使っていると紙が水分を含みふにゃふにゃになってきますよね。もちろん使い捨て。
その点は、木のストローは優秀です。長時間水に浸しても大丈夫。
木のストローを製造販売しているクレコ・ラボの木の紙ショップのnoteによると、木のストローは5時間水に浸しても使える状態だったそうです。
使い捨て?繰り返し使える?洗い方は?
木のストローは繰り返し洗って使えるのか?気になりますよね。
これに関しては、製造元である2社によって見解が少し異なっています。
まず、クレコ・ラボは、4〜5回を目安に繰り返し可能と説明しています。
使用後は洗って食器乾燥機で乾燥していただければ、一般細菌数の変化がないことも検査機関にて検査済みですので繰り返しでのご使用(4、5回目安)が可能
木の紙ショップnote
一方、同じく木のストローの開発販売を行っているアキュラホームでは、洗って何度も使えるか?というamazonでのQ &Aに対して、間伐材の活用を推進するために使い捨てを推奨しています。
amazonのQ &Aより
当商品は、間伐材の活用を促進する一環として、使い捨て商品として推奨しております。
厚さ0.15mmの間伐材を巻いて接着剤でのり付け
木のストローは、厚さ0.15mmの薄い間伐材のシートを手作業で棒状に丸めて接着剤で貼り付けて作られています。
様々な試作品を経て、スギが採用されました。接着剤には、第三者機関の安全基準をクリアした身体に害のないものが採用されています。
アキュラホームの木のストローの木は国産間伐材とのみ記載されていますが、クレコ・ラボの木のストローはスギ、ヒバ、トドマツの間伐材で作られたものが産地別に販売されています。
木のストローの値段はプラスチックの100倍?!
木のストローの製造コストは、一本50円程で、プラスチックの0.5円ほどと比べると100倍ほどです。
販売価格は、ネット上の価格で最も短い13.5cmが1000本以上で1本あたり50円と最安値になっています。
ただ、個人で1000本はなかなか買えませんよねw
一番安い価格の木のストローは、アキュラホームの場合4本セットで税込1,500円(21cm)、クレコ・ラボの場合10本セットで税込1,650円(20cm)、3本セットで550円(13.5cm)となっています。
1本あたりの価格は本数や長さによってかなり変わりますが、木のストローを個人で購入する場合は1本あたり165円以上です。
木のストローの製造元は2社ある
ここまで木のストローの会社をアキュラホームとクレコ・ラボ2社紹介してきました。どちらが先に開発したか?というとそれはちょっと難しい話になります。
もともとはアキュラホームが開発し、クレコ・ラボが製造元になっていましたが、途中からからアキュラホームも製造するようになり、それぞれが別に製造販売するようになったのです。
詳しい経緯は、木のストローの本に書いてあります。
SDGsに貢献!木のストローのメリットとは?
一本50円〜数百円もする木のストロー。そこまでして使う必要があるのでしょうか?
脱プラスチック(海の環境保全)
2015年にウミガメの鼻にストローが刺さった動画が拡散し、プラスチックによる海洋汚染が問題視され始めました。
様々な商品に使われてきたプラスチックは、安価で丈夫な便利素材ですが、多くは処理されずに海に流れ着きます。
プラスチックではない木のストローを使うことは、プラスチックの使用を少しでも減らし、海の環境保全に繋がります。
だったらストロー自体を使わなきゃいいじゃん!という意見もあると思いますが、木のストローの魅力はそれだけではありません。
間伐材の活用(山の環境保全)
木のストローが開発されたきっかけは、平成30年、西日本の豪雨被害です。適切な管理が行われず、放置された森林によって、土砂災害による被害は拡大しました。
木を使わないように割り箸を減らそうなどの環境意識が高まる中、国産の木材が使われないことも問題となっています。
日本の森林のうち約4割は人工林です。
健全な人工林の育成のためには「間伐」が欠かせませんが、海外からの安い木材が輸入されるようになり、国産の木材の価格は落ちました。
日本の林業経営が厳しくなると、間伐の費用が出せずにそのまま放置したり、伐採した木を森林にそのまま放置するようになったそうです。
木のストローは、このような間伐材を有効利用する事で、山の環境保全や災害予防にもつながるのです。
障がい者の雇用
木のストローは、一本ずつ人の手によって巻くことによって作られています。この作業は障がい者の雇用にも繋がっているのです。
「日総ぴゅあ」という、障がい者社員141人在籍する会社があります。
日総ぴゅあは、日総工産株式会社の特例子会社で、ヨコハマSDGsデザインセンターとアキュラホームと連携し、木のストローの制作を始めました。
2020年に株式会社アキュラホームが受賞したグッドデザイン賞においても、木のストローによる地産地消モデルの構築が評価されています。
自宅で簡単に作れる?木のストロー手作りキットを作ってみた
木のストローの手作りキットは、「アキュラホームカンナ削りの 木のストロー 手作りキット」を楽天やアマゾンで購入することができます。
手作りキットセット内容は、
- 専用マット
- 削り華(木の薄いシート)×10枚
- 芯棒
- 専用のり×2袋
- 拭き取りタオル
- マスキングテープ
- ヘラ
の7点です。ハサミ以外の必要なものはすべて入っていました。
巻かれている専用マットを開くと、このシートの上で作り方を見ながら作れるようになっています。
※巻かれていたシートはなかなかまっすぐならないため、四隅に重りを置いて使いました。
木のストローの作り方は、
- 削り華(木材)を図の位置にセット
- 専用のりを全体に塗る
- 棒芯を図の位置にセットし、上に木材を巻いていく
- 巻終わりをマスキングテープで止める
- 表面の余分なのりを拭き取り、棒芯を抜く
- マスキングシートの中心をカットし、好きな長さのストローを作る
となっています。
4歳と7歳の娘たちと作りましたが、すごく楽しかったですよ!10本中3本は失敗作ですw
大人がやっても結構難し為のですが、上手く巻けたら楽しくて私もハマってしまいましたw
7歳の長女は頑張れば一人で出来ましたが、もっと作りたい!と言っていました。4歳の次女は私と一緒に巻きました。
完成したストローは、1日乾かせて完成とパッケージには書いてありましたが、専用シートの作り方には4〜5日乾燥させるように書いてありました。
楽しかったけど、難しかった〜!木のストローを作ってみて、木のストローが高い理由を実感することができましたよ!子どもへの経験としても親子で作るのもオススメです!
木のストローで飲むと味は変わる?!美味しい?まずい?
手作りした木のストローでお茶を飲んでみました!
食べたくなるような見た目
まず、見た目はストローというより、お菓子のよう。「トッポ」にも似ていて、食べたくなっちゃいますw
木の香りを楽しめる
木のストローは、制作時はもちろん、完成後も木の香りが楽しめます。木のストローで飲んだからといって特に味は変わりませんでしたが、鼻を近づけて飲むことによって木の香りを同時に楽しむことができます。
フジテレビでドラマ化!西口彩乃の書籍「木のストロー」とは?
私が「木のストロー」に興味を持ったきっかけは、開発者であるアキュラホームの西口彩乃さんが書いた本でした。
プライベートでも仲が良かった環境ジャーナリストの竹田有里さんから、「木のストローを作れないか?」と相談されたことをきっかけに、広報担当だった西口さんが開発に向けて奔走するストーリー。
「なぜ住宅会社がストローを作らなければいけないのか?」という周りの声や、何度試作しても失敗・・・それでも諦めずに成功まで導きます。
革命は機械でも会社でもなく、諦めずに挑戦し続ける個人の熱意と情熱によって起こるものだなと思いました。
多くのものが機械化されて簡単に大量生産される時代に、木でストローを作るということがこんなにも大変なことだということにも驚きです。
2022年2月にフジテレビでドラマ化。開発の物語を知ることで、木のストローを見る目がきっと変わると思いますよ。これから何か挑戦したい人にもオススメの一冊です。
まとめ:木のストローは割高だけど想いやストーリーが詰まっている!
いかがでしたでしょうか。プラスチックに比べると、割高ですが繰り返し使うこともできる木のストロー。
木のストローは、環境保全だけでなく、山の環境保全や地域の雇用にも繋がります。
実際に作ってみると、制作の大変さを実感することもでき、家族で楽しい体験となりました。
この木のストローを作った人達の想いやストーリーを本を通じて知ることで、単なるストローには見えなくなってきます。
「木のストロー」があなたの何かのきっかけになれば幸いです。