おっぱいはデブのもと。(週刊キャプロア出版第8号掲載)

妊娠すると女性は太る。妊娠によって増える体重は一般的には8kg~12kgが理想と言われている。体重管理に厳しい産婦人科も多く、少しでも太りすぎると怒られるという話もよく聞く。私は次女を産んだとき18kgも太ってしまった。明らかに太りすぎだが、幸い私が通っていた産婦人科では体重について厳しく言われることはなかった。

出産直後は赤ちゃんとその他色々出てくるために5kg程度体重が減る。私の場合、5kg減ったところで+13kgなのでまだまだデブだった。しかし、気が付くと元の体重、いやそれ以上に減っていた。原因はおっぱい。おっぱいを与え続けたことによって私の体重は元に戻った。

次女は一週間検診で引っ掛かった。長女の時と異なり、初めからおっぱいが沢山出ていたので安心していたのに。理由は太りすぎだった。おっぱい飲みすぎて太りすぎだと注意された。おっぱいは出なくても困るし出すぎても困るのか、、、私が太りすぎていたことが原因で、娘を異常なほどデブにしてしまったと考えるとショックだった。

現在次女は一歳になる。彼女は我が家で一番健康だと思う。生後間もない頃太りすぎと注意されたが、その後はずっと以上なし、いや、むしろ他の子よりも健康優良児だと思う。

最近はデブに厳しすぎる世の中なのではないだろうか。体重増えすぎても超安産だったし、太り過ぎた娘も超健康なんだから。おっぱいはデブのもと。つまり、デブは命の源なんだから。

村上春樹(週刊キャプロア出版第7号掲載)

あなたがおっぱいについてどんなイメージを持っているかなど、私は何も興味を持っていないし、何かを言う権利もない。大きい方が良いと思う人が多いのは確かだし、色や形、また障り心地に関心がある人もいるかもしれない。ただ、「おっぱい」という単語に反応してニヤける男性を見ると、やれやれと、私はいつも思ってしまう。「あなたはおっぱいについて本当に知ってるの?」と私はつい問いかけてしまいたくなる。

おっぱいについて語り尽くすことは私には出来ないし、あるいは世界中の誰もそんなことは出来ないのかもしれない。私がおっぱいについて何かを語るとすれば、おっぱいに対するイメージが全く変わった3年前の出来事ー出産ー重ねられた二つのスプーンのようにピタリと私に張り付いてくる存在が誕生したーという出来事以降だ。

出産するまで私はおっぱいについてあまりにも無知だった。私はおっぱいと共に生きてきたはずなのに。いや、それは私の思い込みに過ぎなかったのかもしれない。ただ一つ言えるのは、生まれたときからおっぱいは私の体に付いていた。

「毎週、おっぱいについて書けるのだろうか?」コーナーを持つことを決めたとき大きな不安があった。なぜなら私は飽きっぽくて忘れっぽい。数日後には忘れてしまうかもしれない。しかし、決めたからには続けなければならない。土曜日の朝にドリップコーヒーを淹れるときみたいに、間違えないよう丁寧に続けていきたい。

今日もまた私はおっぱいを娘に与えている。そして、娘たちが眠ってしまった後も、一人おっぱいについての文章を書いている。やれやれ、またおっぱいか。

この文章は週刊キャプロア出版の第7号「村上春樹」に掲載されています。