初めましての方に自己紹介するとき、
仕事の事はこんなふうに伝えます。
「フリーで作曲の仕事をしています。主によさこいの楽曲を作っています。」
相手の方がよさこいを知っている・知らない、
に限らず、だいたい物珍しげな反応が帰ってきます。
「作曲家の方とお会いするのは初めてです」
「そんなお仕事があるんですね」
だったり、
「それで本当に食っていけるの?」
だったり(笑)
とにかく、かなり希少な職種であることは間違いないようです。
というわけで、一体どんなふうに仕事をしているのかまとめてみました。
あくまで「僕がこういう風にやっている」ということで、
人によっては全然違うと思いますが…
ステップ1 ~受注~
フリーランスが独立するとき
最も大変なことのうちのひとつが顧客の獲得だといいます。
僕の場合は独立初年度から、
そこそこの数のお仕事を頂くことができました。
「在籍していた会社からの仕事を引き継がせてもらえた」
「学生時代からYOSAKOI祭りのボランティアをしていたおかげで見込み客に知り合いが多数いた」
というのが主な理由ですが、
この2点はかなりラッキーだったといえるでしょう。
本当にありがたいです。
現在フリーになって6年目ですが、
多くの依頼がリピーターです。
また、新規も、その多くがリピーターの方や、
過去にご依頼いただいた方からの紹介となっています。
また、楽曲を制作させて頂いたチームさんが、
その曲を使って実際にお祭りで踊ること自体が、
ある種、僕の宣伝活動となっているのもありがたいところです。
ステップ2 ~打ち合わせ~
依頼を頂くことができたら、
次は実際にお会いして打ち合わせです。
音というのは目に見えない抽象的なものなので、
よほどのことがない限り面と向かってお話しをさせて頂くようにしています。
世間話に始まり、
チーム結成の由来、メンバー構成、地元の話し、
具体的な曲の構成、予算、納期、などなど。
特に気をつけているのは、
「言葉を共有する」ということです。
どういうことかといいますと、
「かっこいい曲調で」
という言葉を聞いて頭に思い浮かべるものは、
人それぞれ異なると思います。
ロックだったり、ジャズだったり、ヘビメタだったり、
はたまた、津軽三味線だったり、クラブミュージックだったり。
この人は一体どんなニュアンスで
「かっこいい」を使っているのか、
この「激しい曲調で」はどんな激しさで、
ここの「壮大に」はどういうイメージなのか。
そういう、あいまいな点をハッキリさせておかなければ、
できあがったものを聞いた時に
「あれ?イメージとぜんぜん違う。」
となるわけです。
逆に、打ち合わせ中に、
お客さん;「冒頭は、こんな感じにしたいんですが…」
僕;「それって、こういうことですか?例えば~」
お客さん;「あー、そうかもしれません。」
僕;「もっと具体的に言うと、~な感じですか?」
お客さん;「そう!!それそれ!!でね、そこからこんな感じで~」
と、話が盛り上がってくると、
この仕事は8割は成功したようなものです。
ステップ3 ~制作準備~
僕の場合、打ち合わせ中に話が盛り上がると、
頭の中でぼんやりとした曲の断片ができたりします。
「頭のなかで鳴っている」という感じです。
それをそのまますんなり具現化できるかどうか、
というのはまた別の問題なのですが(笑)
それはさておき、
制作に入る前に、
打ち合わせで決定した曲の構想に合わせて、
参考の音源を探して聴きこんだり、
シンセサイザーに入っている音の中からイメージに近いものを探したり、
必要があれば映像作品や書籍にも目を通したり、
楽曲のテーマとなる場所を見に行くため出かけたりもします。
地味な作業ですが、
正直あまり好みではない音楽を
何回も何回も聞かなければいけないことがあったり、
(でもそういうのに限って新しい発見があってありがたい)
シンセサイザーに入っている何百何千もの楽器の音色から
曲のイメージに合うものを探したり、意外に大変です。
ステップ4 ~制作~
実際に曲を作っていきます。
ここまできて、やっと「ミュージシャン」っぽい作業になります。
パソコン上に立ち上げた作曲ソフトを使い、
様々な音を重ねていきます。
ソフトの中の譜面に音符を書き込んで機械に演奏してもらったり、
自分でギターやベース、鍵盤などを演奏したりもします。
ある程度作業が進んだところで、
「こんな感じになっていますがいかがでしょうか?」
と、データを送りお客さんに確認して頂きます。
直しがあれば修正を加え、更に作業を進めます。
基本、この作業をしている時期はあまり外出しません。
どうかすると、数日の間、家族以外誰にも会わない事もありました。
最近では子供が生まれたため、
息抜きがてら一緒に近所の公園に散歩に行ったりします。
ステップ5 ~仮完成~
何度かの修正のやり取りを経て、
一旦、楽曲が完成します。
ここでいう「一旦」ですが…
チームによっては振付を作る時点で、
動きの都合上どうしても変更して欲しい箇所が出てきたりするのです。
また、ここでは「待ち」の状態になってしまいますが、
不意に連絡があり「急ぎで修正を」となったりもします。
ステップ6 ~掛け声の録音~
いよいよ大詰めです。
チームのメンバーさんによる掛け声の録音を行います。
現地にお伺いしたり、
うちの近所まで来て頂いたり、
時間も場所も様々です。
まれに「え!?ここでですか!?」
という場所で行うこともあります。
とにかく正規のスタジオではないことが多いため
臨機応変力が鍛えられているのは間違いないと思います(笑)
また、掛け声を出して頂く皆さんも、
声に関しては、いわゆる「素人」さん。
例えば「わっしょい!!」という掛け声を録るにしても、
最初からOKを出せるチームさんはなかなか少ないのです。
どういうことかといいますと、
まず、録音に慣れていない人は普通の状態で叫ぶのが難しいです。
当たり前です。
そもそも、叫ぶという行為は何か気持ちが盛り上がって行うものです。
例えば悲鳴だったり、怒ったときだったり。
平常時でもそういった声が出せるよう、
様々な方法でアドバイスや演出などを行うのも僕の仕事です。
実はこの「録音の演出」がいろんな意味で好評で、
一部の方の間では僕の録音は
「ちょーおもしろいもの」だと認識して頂いています。
その辺は実際に体験して頂かないとわからないので省略しますが…
そして、その掛け声(時には、かなり膨大な量)を加工・編集し、
OKを頂いたところで完成となるわけです。
納品~お金をいただくまでが仕事~
はい、お仕事なのでお金を戴かないといけません。
しかし、正直言ってこの部分はめんどうです(笑)
請求書作ったり、領収書作ったり、
収入印紙貼るのとか、ちょーめんどい(笑)
あと、滞納なんかもしばしばあります。
未払いというのは今のところないですが、
諸先輩方や大物ミュージシャンの方のお話を聞いていると
そういうのも少なくないみたいですね。
お客さんに恵まれていて、ありがたいです。
記事を書いている人
■Facebookしてます
申請、フォロー、お気軽にどうぞ。
www.facebook.com/takahiro.yamaguchi.71
Takahiro Yamaguchi | バナーを作成
長崎県佐世保市出身、福岡県久留米市在住。
1981年生まれ、身長186.5cm。メガネと帽子がトレードマーク。
1歳の娘が可愛くて仕方ない今日このごろ。
お問い合わせはこちらまで
mail@kodomosize.net
■制作した「よさこい楽曲」が聞けます
■こんな音楽も作っています
■著作権フリー無料効果音
■Instagram(写真撮るのも好きです)
bit.ly/21hnwbq
コメント